詩篇 「影色の日々」
こちらは過去に書いた詩ですが、再度読み直してあるものを感じて、WEBを閲覧なさった方のお礼に載せることに
しました。4つの詩を合わせて影色の日々としました。
こちらの詩は含まれてはいませんが、私の詩集が気になる方は「新しい夜」をお求めください。では、どうぞ。
一 「かげ」
二 「いろ」
三 「の」
四 「ひび」
詩「かげ」
別れる心は痛切だ
それは己が地上にいるということを
教えてくれるから
苦しくなるし
悲しくなるのだ
その伸びた影を包み込んでくれるのは
日暮れでしかない
一歩踏み間違えれば
首が吊れそうだけど
光は過酷に
風を心に当てたがる
さらに痛みは拡がり
二本足は踏み留まる
叫び声に足は
呼応しなく抗う
どこまでも抗う
私は宿へと向かう
詩「いろ」
その人の色は何色か
ジャンセンやミロのように
赤と黒が織り成すか
あるいはヴラマンクのように
押しつぶした激情で隠し通すか
ミレーやモネ、ターナーのように
透明や夜明けの青に貫徹されるか
クノップフ、モローのように
永遠や向こうを見つめ続けるのか
ブラック、ゴーギャンのように
社会を見続ける黒を抱き続けるか
それとも華岳、コロ―、魁夷のように
自然に生きるのか
誰が好きかで決まるものか
誰に憧れるかで
その色を帯びるか
詩「の」
そうか
誰もの生は光陰の如しか
とわかった矢先に
虫が飛来し激突し自爆していた
私の衰えた視力では
破片を拾うことはできなかった
この正義は何を貫いたのだろう
人間の壁は
追突した意志を汲みとれてきたか
そうだ
人も同じで
楽しむことには慣れていない
憩うことで本来
力を蓄えている
ある時はたたかい
ある時は休む
なにも今に始まったことではない
詩「ひび」
何度か明日への思いを
書き 読み 聞き 考えてきた
ある時は掬いようのない狂乱に陥ったり
また ある時はただ脈打つ子供に歓びを示したり
大人しそうな人が事件を起こすことも
興奮が冷めて日陰の繁殖に巻き込まれるのも報道の通りだ
切り絵の図形によっては
朗らかであったり
不気味にも見える
生きる者がいれば
死者がいて だから悲しみが貯まる
歳月は憎しみを浮かせ
浮いた憎しみは強く濃縮し
地獄を再現させる種となる
こういう平行世界で
自分のコメを取るため
働いて笑って 少し飲んで泣いて
吠えて見つめて 酔って愛して 哀しむと言える
不遇に終わる死は儚い
それを無視する世人は残酷だ
まだまだ白地図に名前の覚えられない地理がある
山地に生息する精霊を幻視することも叶わない
たくましい人の想像力の欠如である
もっともっと見知らぬところで
生は死を真近くに引き寄せているのだろう
哀しむ感情はまだ幼い
そう 生きることも幼い
幼いまま生きて
そのまま亡くなる
ああ 僕らは生きている
そして人間であるのだ
こちらは過去に書いた詩ですが、再度読み直してあるものを感じて、WEBを閲覧なさった方のお礼に載せることに
しました。4つの詩を合わせて影色の日々としました。
こちらの詩は含まれてはいませんが、私の詩集が気になる方は「新しい夜」をお求めください。では、どうぞ。
一 「かげ」
二 「いろ」
三 「の」
四 「ひび」
詩「かげ」
別れる心は痛切だ
それは己が地上にいるということを
教えてくれるから
苦しくなるし
悲しくなるのだ
その伸びた影を包み込んでくれるのは
日暮れでしかない
一歩踏み間違えれば
首が吊れそうだけど
光は過酷に
風を心に当てたがる
さらに痛みは拡がり
二本足は踏み留まる
叫び声に足は
呼応しなく抗う
どこまでも抗う
私は宿へと向かう
詩「いろ」
その人の色は何色か
ジャンセンやミロのように
赤と黒が織り成すか
あるいはヴラマンクのように
押しつぶした激情で隠し通すか
ミレーやモネ、ターナーのように
透明や夜明けの青に貫徹されるか
クノップフ、モローのように
永遠や向こうを見つめ続けるのか
ブラック、ゴーギャンのように
社会を見続ける黒を抱き続けるか
それとも華岳、コロ―、魁夷のように
自然に生きるのか
誰が好きかで決まるものか
誰に憧れるかで
その色を帯びるか
詩「の」
そうか
誰もの生は光陰の如しか
とわかった矢先に
虫が飛来し激突し自爆していた
私の衰えた視力では
破片を拾うことはできなかった
この正義は何を貫いたのだろう
人間の壁は
追突した意志を汲みとれてきたか
そうだ
人も同じで
楽しむことには慣れていない
憩うことで本来
力を蓄えている
ある時はたたかい
ある時は休む
なにも今に始まったことではない
詩「ひび」
何度か明日への思いを
書き 読み 聞き 考えてきた
ある時は掬いようのない狂乱に陥ったり
また ある時はただ脈打つ子供に歓びを示したり
大人しそうな人が事件を起こすことも
興奮が冷めて日陰の繁殖に巻き込まれるのも報道の通りだ
切り絵の図形によっては
朗らかであったり
不気味にも見える
生きる者がいれば
死者がいて だから悲しみが貯まる
歳月は憎しみを浮かせ
浮いた憎しみは強く濃縮し
地獄を再現させる種となる
こういう平行世界で
自分のコメを取るため
働いて笑って 少し飲んで泣いて
吠えて見つめて 酔って愛して 哀しむと言える
不遇に終わる死は儚い
それを無視する世人は残酷だ
まだまだ白地図に名前の覚えられない地理がある
山地に生息する精霊を幻視することも叶わない
たくましい人の想像力の欠如である
もっともっと見知らぬところで
生は死を真近くに引き寄せているのだろう
哀しむ感情はまだ幼い
そう 生きることも幼い
幼いまま生きて
そのまま亡くなる
ああ 僕らは生きている
そして人間であるのだ